ユーロヴィンテージ人気が高まっている中、ヴィンテージショップでも軒並み価格が高騰しているのがモールスキンジャケットです
今回はそんなモールスキンジャケットの年代やブランドなどを深堀していきたいと思います!
こんにちは!
古着屋店員の「fukusuke(@fukusukeblog)」です!
ユーロヴィンテージの中でもモールスキンジャケットは定番のアイテムとなっていますよね。
様々なブランドからもサンプリングされており、今カッコよく着られるヴィンテージとして高い支持を得ています。
しかしながら、モールスキンジャケットについてはあまり情報がないのが現状です。
どんなものを買えばいいのか、どこで買うのがいいのか。
今回はそんなモールスキンジャケットについて様々な視点からお伝えしたいと思います。
モールスキンジャケットとは
キャンバスやデニム素材に並んでフレンチワークに使われる最も丈夫な素材がモールスキンと呼ばれる物です。
モールスキンは綿糸を横朱子織で高密度に織り上げた素材で、高密度であるが故の光沢感と厚みのある素材感がモグラの毛皮の様な質感であることからモールスキンと呼ばれるようになったそうです。
(炭鉱の穴の中で働いていた人が着ていたことからモールスキンと呼ばれるようになったという説もあります。)
このようなモールスキンと呼ばれる丈夫な素材を使用したジャケットがモールスキンジャケット。
アメリカで言うデニムジャケットと同じような使われ方をしてきた物と考えると良いかもしれません。
アメリカのワークはカジュアルなイメージが強いですが、モールスキンを使ったフレンチワークはどこかフォーマルさも感じます。
労働着までもが見栄えを考えて作られているように感じるのは、やっぱりヨーロッパ圏ならではの魅力なのかもしれませんね!
モールスキンジャケットは今までもユーロヴィンテージの中で人気があるアイテムでしたが、昨今のユーロヴィンテージ人気とともに不動の地位を獲得しています。
価格は数年前から数倍ほどになっていますね。
デットストックになると10万円を超える値段になってしまいましたが、まだまだ値段が落ちることはない、資産価値になるヴィンテージアイテムでしょう。
モールスキンの見分け方
モールスキンは何度も触れている人なら、触った感覚や見た目でまず見間違えることはないのですが、モールスキンにもいくつか種類があったりするので、そこが混合してしまいがちです。
まず、フレンチのモールスキンは横朱子織の高密度に織り上げた肉厚の素材です。
それと同じ名前で、イギリスの生地メーカーで有名な Brisbone moss(ブリスベン モス)は太番手の綿糸を綾織りにして両面起毛させた素材をモールスキンとして販売しています。
ブリスベンモスのモールスキンは起毛がかっているので、見る角度によっては少し白っぽく、それが桃の表面に似ていることもあって、別名ピーチスキンとも呼ばれているようです。
また、ドイツ軍のモールスキンカーゴパンツなどもモールスキンと名前が付くアイテムですが、生地の厚さや見た目などはまるで違います。
ドイツ軍のモールスキンは別名ジャーマンクロスとも呼ばれていて、高密度の朱子織で織られるているので、どちらかと言えばフレンチのモールスキンに近い素材ですね。
さらに、肉厚ではないライトモールスキンと呼ばれる物もフレンチワークにあるので、さらに分かりづらさが増しています。
これは横糸をどれだけ高密度に入れているかによって変わってくるみたいです。
朱子織は糸の太さや密度で印象が大きく変わってくるので、これがモールスキンを分かりにくくさせている一番の原因だと思います。
といったように、モールスキンと呼ばれる物は数多くありますが、全てモールスキンで間違いはありません。
ですので、難しく考えずに、フレンチのモールスキンジャケットにおけるモールスキンは肉厚で光沢感があり、起毛していない物と考えておくと良いでしょう。
1960年代以降に増えてくるコットンツイルやヘリンボーンツイルのフレンチワークとは生地の織りが全然違うので生地を近くで見ればすぐに分かるかと思います。
色
モールスキンジャケットは基本的にネイビーとブラックの2色あり、生成りなどのかなり珍しい色もあるようです。
ブラックの方が人気があり、デットストックだと10万円を超える物もめずらしくありません。
どちらが良いという物ではありませんが、ブラックの方が数が少ないので人気という事ですね。
また、服は何でもネイビーより黒の方が中古相場高くなりがちです。
ディテールから見る年代
続いてモールスキンジャケットのディテールからある程度の年代を見ていきたいと思います。
モールスキンジャケット自体は大体が1960年までの物しかないとされており、それ以降はコットンツイルやヘリンボーンツイルのジャケットに切り替わります。
youtube などに細かい年代を載せている物がたくさんあるので、ここでは少しだけ紹介しておきます。
襟
丸みを描く襟が人気があり、50年代以前のヴィンテージに多いディテールです。
ポケット
左側に付く胸ポケットは小さいほど年代が古い物とされており、さらにポケットに付くVステッチがある物が古い物が多いようです。
その為Ⅴの字にステッチが入る物をⅤポケと呼ぶくらい人気のあるディテールとなっています。
タグ
刺繍タグなら50年代以前の物の可能性が高く、50年代以降からプリントタグが増えてきます。
さらに60年代頃から襟などにサイズ表記のタグが付き始めるので、襟に数字が書いたタグがあると比較的年代が新しい物になります
モールスキンジャケットで有名なブランド
フランスでは色々なワークブランドが労働着としてモールスキンジャケットを販売していました。
その中でいくつかのブランドをピックアップして紹介したいと思います。
LE MONT ST MICHEL(モンサンミッシェル)
モールスキンジャケットで一番に名前が挙がるブランドと言えば、このモンサンミッシェル。
1913年のフランス、ブルターニュ地方でワークウェアブランドとして創業されたのがルーツとされています。
黒字にイエローの刺繍で、このブランドタグも人気です。
価格もタグが付いていないモールスキンに比べて1.5倍から2倍ほどの差が付くイメージがあります。
Adolphe Lafont(アドルフ ラフォン)
1844年創業のフランスのワークを代表するブランド。
ヴィンテージから比較的最近の物まで、幅広く古着屋さんで見かけるブランドです。
上の赤地に白文字のタグが一番記憶に残るタグでしょう。
AU MOLINEL(オーモリネル)
1845年創業のフランスのワークウェアブランド。
アドラルフラフォンにつぐ、歴史あるブランドで、モールスキンジャケットの他にもアトリエコートなどが古着で良く出てくる印象です。
LE TRAVAILLEVR GALLICE(ル トラヴァイユール ガリス)
1895年に創業したフランス最古のワークブランドのひとつ。
現在でも続く歴史あるブランドです。
ジャーナルスタンダードが別注でモールスキンアイテムを作っていたりと、モールスキンを作ってきたワークブランドとしてはメジャーな存在となっています。
LE LABOUREUR(ル ラブルール)
1956年にフランス・ディゴワンで創業したフランスのワークブランド。
モールスキンを作るワークウェアブランドとしては比較的新しいブランドになります。
コムデギャルソンのモールスキンジャケットのボディとしても使われており、知名度は少し高めです。
LE SANS PAREIL(ル サン パレイユ)
1894年にフランス・ローヌ地方で創業された老舗ワークブランド。
古着好きから支持されている「アニキ」こと片野英児さんとのコラボでモールスキンジャケットも販売しています。
ok ok
古くて形がいい物が多いブランド。
ブランドの個体数は多くないですが、ブラックモールスキンのジャケットが多くある印象です。
Dubure & Deverchere(デュビュール エ ドゥヴェルシェール)
1900年代中頃に創業されたワークウェアブランド。
年代の古い物は黒字に赤の刺繍糸、比較的年代の新しい物は白地に青文字のブランドタグが付きます。
40年代~50年代のヴィンテージや60年代~70年代頃まで見るブランドになります。
ヴィンテージのモールスキンジャケットが買えるお店
Mel(メル)下北沢
下北沢にあるヴィンテージの古着屋さん。
フランスのみで買付された良質なヴィンテージが大量にあり、博物館の様な見ごたえのあるお店になっています。
encore(アンコール)高円寺
高円寺の古着屋さん。
古い物は1800年代からのヴィンテージまで取り扱うファンの多いお店です。
人気商品は入荷してすぐになくなってしまうので、ブログなどで入荷情報をチェックするのがおすすめ!
safari(サファリ)5号店 高円寺
高円寺に数店舗展開しているサファリ。
店舗ごとに特色のある商品展開をしており、5号店はユーロヴィンテージなどを中心に取り揃えています。
買取や委託での販売をしている為、買い付けのヴィンテージのお店とはまた違いますが、スペシャルと呼べるヴィンテージが所狭しと並べられています。
圧巻の品揃えなので、ヴィンテージ好きは楽しめる事間違いなしです!
sureau(シュロ) 高円寺
2020年からスタートした高円寺の古着屋さん。
ヴィンテージからアンティークまで珍しく面白いアイテムがたくさんあります!
ギャルソンやヨウジ、マルジェラなどの古着もセレクトしているそうです!
ヴィンテージのショップとしはレディースの割合多めだったので、女性の方も楽しめるお店だと思います!
終わりに
以上、モールスキンジャケットについてでした!
ユーロワークのアイテムは本当にカッコイイ物が多く、それでいて長く着られる服だと思います。
最近では20代前半くらいの方がユーロヴィンテージを楽しまれている方も多いですが、30代や40代からでも楽しめるのがユーロ物だと思うので、ぜひ、モールスキンジャケットを見ていただければと思います。
その他にもユーロワークについてまとめた記事などもあるので、ユーロワークについて気になった方はぜひ読んでみて下さい!