判別が難しいユーロミリタリーの見分け方や特徴を解説!
各国毎に定番アイテムや、特徴をまとめたので判別などの参考にしていただければと思います。
こんにちは!
古着屋店員の「fukusuke(@fukusukeblog)」です!
今回はミリタリーについて。
ミリタリーは各国色々な種類があり、日本では U.S military(アメリカ軍のミリタリー) が多く出回っているかと思います。
また、U.S military はミルスペックと呼ばれるタグが付いており、それがアメリカ軍だという指標にもなりますし、そこから年代判別などもしやすい仕様となっています。
逆にユーロミリタリーは国ごとに違った特徴やサイズ表記があり、ディテールなどを知っていないと判別がかなり難しい仕様なんですね。
また、ネット上に多少判別方法の情報が載っているものの、それをまとめた分かりやすい物がありませんでした。
僕自身、ミリタリーが知りたいと思った時に、現在のネットでもあまり知ることができなかったのが残念だったので、それだったら自分で作ってやろうと思って、今回この記事を書いています。
まだまだミリタリーに関しては、マニアの方に追いつけませんが、ミリタリーに興味を持った方の判別の指標を作れたらと思います。
また、個人的に調べた内容も多いので、確定的な情報ではありません。
中には間違いもあるかもしれませんので、その際はコメントにてお伝えいただけると幸いです。
それでは、各軍毎に解説していきますね!
フランス軍
第一次世界大戦初期は赤いピケ帽に青いコート、赤いパンツと戦闘の為の服とは思えないカラーで、かなり実用性を欠いていたそうです。
第二次世界大戦のころになると実用性もあり、シンプルでミニマムなデザインが多くなりました。
また、MARTIN MARGIELA (マルタンマルジェラ)もコレクションに使用するほどのデザイン性とその縫製の良さがフランスミリタリーの特徴です。
現在でもサンプリングされるほどの完成度はファッションの文化が根付いたフランス軍ならではですね。
代表的なアイテム
M-47 Field Jacket
名前の通り1947年から1950年ほどにかけて採用されていたフィールドジャケット。
アメリカ軍の M-43 を参考に作成されたと言われています。
特長は4つのポケットと比翼ボタン。
首元を閉められるチンストラップもすっきりと着られるディテールですね。
前期型と後期型があり、素材が変わります。
前期型がコットンツイル。
後期型がヘリンボーンツイル。
後述するパンツと同じ変遷となっています。
M-47 Trousers 前期
フランス軍の中でも代表的なアイテムがこの M-47 Trousers 。
1947年に採用されたことからこの名前が付いたとされています。
martin margiela がこの服の縫製の良さを表現するために裏返してコレクションに登場させたのは有名な話。
ドカンと太いシルエットが現代のトレンドともマッチした作りで、軍パンのカッコよさを感じられる一着になっています。
裾にアジャスターが付いているので、すっきりと履くこともできますね。
ミリタリーのデザインは基本的に機能性を重視した結果の物です。
裾のアジャスターも動きやすさを追求したうえでのディテールだと言えるでしょう。
前期モデルと後期後期モデルがあり、上の画像が前期モデルとなります。
前期の特徴は
- ウエストボタンが2つある。
- コットンツイル。
- まっすぐストレートなシルエット。
といった点です。
M-47 Trousers 後期
こちらが60年代に採用されていた後期モデル。
前期モデルとの違いは、
- 素材がヘリンボーンツイル。
- ウエスト部分のボタンがひとつ。
- 少しだけテーパードシルエット。
です。
後期モデルの方が履きやすい印象がありますが、今では日本人に合うサイズが少なくなってしまっています。
マイサイズを見つけることができれば確保したい一着ですね。
M-52 チノトラウザー
1950年から1960年にかけて採用されていたチノトラウザー。
タックが入り、テーパードの効いたパンツです。
コチラも M-47 同様名作となっていて人気のあるミリタリーアイテムですね。
テーラードジャケットなどのカジュアルダウンに合わせたいパンツです。
M64 ジャケット
細身でシュッとしたシルエットのジャケット。
サテン300と呼ばれる厚手のコットン生地を使用していることから「SATIN300」とも呼ばれています。
ディテールでは胸部のポケットに縦のスリッドが入っており、このスリッドがフランス軍で多く見られるディテールとなっています。
後述するF2ジャケットでもこのディテールが見られるので、この部分を覚えておくと国の判別がしやすいです。
また、M-64にはチンストラップが付いていますが、F2ジャケットでは排除されており、この部分で見分けることが可能になっています。
F2 ジャケット
フランス軍のジャケットと言えばこの F2 ジャケット。
M64 の後に作られたジャケットで、M64 と比べて着丈が短く、薄手なのが特徴です。
胸部の縦ポケットは変わらずですね。
M-38 モーターサイクルジャケット
1938年に作られたことから「M-38」という名前の付けられたアイテム。
前身頃の湾曲したカッティングが特徴的な一着で、ヴィンテージ好きから絶大な人気があります。
ブランドからもサンプリングされており、現存する数も少ない為、中古価格もかなり高騰しています。
襟を立ててチンストラップを留めて着てもかなりカッコイイ一着です。
見極めポイント
サイズ表記
サイズの表記を見ればある程度の軍の見極めが可能です。
フランス軍は2桁の数字で表記されている事が多いので、結構分かりやすいですね。
SOCIETE ARIEL AIZENAY
チノトラウザーに良く刷り込まれているこちらのステンシル。
SOCIETE ARIEL AIZENAY と書かれた文字です。
「アリエル・アイゼネ」という会社のステンシルだと思われます。
その他
サイズの見方
パンツのサイズは左がレングス、右がウエストとなっています。
ですので上の場合は、レングスが3で、ウエストが1です。
日本人には「21」や「11」などのウエストが小さめのサイズが人気で、中古相場もサイズで大きく変わります。
WAREIN社
F2ジャケットなどによくみられる「WAREIN」と言う文字。
フランス軍にユニフォームを納品しているメーカーです。
イギリス軍
第一次世界大戦ではバーバリーが防水性のあるトレンチコートを開発したり、アメリカ軍が参考にしたほどのミリタリーアイテムが多いのもUK MILLITALYの特徴です。
陸軍・海軍・空軍毎に軍服の種類も多く、PCS(Personal Clothing Syslem)と呼ばれるアメリカ軍のECWCSのようなイギリス軍独自のレイヤードシステムも持っており、軍毎の制服の種類も豊富。
陸軍の制服だけでもパレードなどの正装用である「FULL DRESS」から始まり、さらにNO.1~NO.15もの種類の制服が定められています。
また、アメリカ軍などと比べてもイギリス軍自体の放出量が少ないので、手に入れるにはミリタリー物を広く扱っているショップを見つける必要があるでしょう。
デザインもすっきりとしたシンプルな物が多いので、リアルクローズに使え、ブランドからサンプリングされることも多いです。
ブリティッシュアーミーと呼ばれヴィンテージ好きやミリタリー好きから愛されているユーロミリタリーになります。
代表的なアイテム
NO.1 DRESS
イギリス軍の準正装。
イギリス軍の制服はNO.1~NO.15まで使用機会ごとに割り振られており、その中のNO.1 がこちらになります。
式典などで着用されるユニフォームで、FULL DRESS の次にかしこまった制服ですね。
トップスは街着として転用難しそうですが、パンツなら普段着に馴染ませることは可能だと思います。
NO.2 DRESS
こちらは準礼服や略礼服のような立ち位置の NO.2 DRESS
温かみのあるブラウンのウール地(化学繊維混合もあるようです。)が特徴的で、トラウザーはゆったりとしたワイドなパンツなので、今のトレンドでも履きやすいパンツになっています。
BATTLE DRESS (バトルドレス)
続いてのイギリス軍のバトルドレスと呼ばれる戦闘服。
こちらは年代によってかなり印象が変わるので、古い物から順にみていきたいと思います。
m-37バトルドレス
第2次世界大戦中のイギリス軍バトルドレス。
名前の由来は1937年に正式採用されたことから、「P-37」とされています。
パッチは所属などを表しています。
1944年に正式採用された米軍のM-44アイクジャケットにかなり酷似しているので、もしかするとデザイン基にされたのかもしれませんね。
続いて、デザインは大きく変わりませんが、P-40前期が出て、隠しボタンがなくなったP40-後期が出てくるとされています。
グリーンデニムジャケット
正式名称は「OVERALLS BLOUSES DENIM」
通称でグリーンデニムバトルドレスジャケットなどと呼ばれます。
1940年代の大戦時から1950年代まで陸軍で使用されたジャケットです。
特長はミリタリーには珍しいデニム素材と緑色のデニムの色。
また、着丈が短いのも特徴的です。
とても人気のあるミリタリーアイテムで、日本に入っている数もあまり多くはないようですね。
その後、NO.5 バトルドレスは1960年代に廃止された為、ここまでがバトルドレスの歴史となっています。
P-60 Combat Smock
主にイギリスの空挺部隊が着用していたミリタリージャケット。
1960年パターンから始まり、1968年・1985年・1995年と改良を加えられてきた人気のモデルです。
立ち襟を維持しやすいように作られた、ステッチが多く入った襟など、かなり作りこまれたスモックとなっています。
DPM(分裂迷彩柄)のモデルの方が多く見かけるのですが、こちらのカーキの方が着こなしとしては合わせやすいのではないでしょうか。
P-60 Combat Pants
右太もも付近のポケットが特徴的なコンバットパンツ。
上で紹介したコンバットスモックの対になるパンツですね。
年代にもよりますが、スッキリとした雰囲気で履くこともできるパンツなのでサイズをジャストで履くのもおすすめです。
こちらも多くのブランドからサンプリングされており、ナイジェルケーボンなどが代表的かと思われます。
ロイヤルネイビーベンタイルスモック
イギリス軍の名作、ロイヤルネイビーベンタイルスモックです。
高機能で高価な素材であるベンタイルを惜しげもなく使ったスモックで、デッキの上でも雨や風から守ってくれる高機能アウターとなっています。
イギリス軍のヴィンテージミリタリーの中でも特に人気があり、中古価格も10万円を超える高額ミリタリーです。
オーバーサイズのプルオーバーアウターとして着られるので、長いシーズン活躍してくれるアウターになるでしょう。
MK3 Cold Weather Jacket
英国空軍(RAF)で使用されていたショートジャケット。
1960年代から使用されている息の長いミリタリージャケットです。
短い着丈と、多彩で機能的なジップ、D缶リングなどが特徴ですね。
グルカパンツ
傭兵であるグルカ族に支給されていたパンツ。
左足につく大き目のポケットとベルトの形状が特徴です。
現在でも人気があり、サイズが日本人に合うものは高額で取引されます。
オーストラリア軍でもグルカパンツがあり、技術提供を受けていたので、ほとんどデザインが同じタイプの物があります。
オーストラリアがイギリスの植民地であった歴史背景があるため、タグにブロードアローが付きますが、DDという表記があればオーストラリア軍のグルカパンツです。
コマンドセーター
ミリタリーでも人気のあるインナーがコマンドセーター。
特にジョンスメドレーなどのニットブランドを輩出しているイギリス軍のコマンドセーターは人気があります。
肩やひじに別布を張り付けているのも、アウターが通しやすくするミリタリーならではの機能美。
ミリタリーのインナーなので、サイジングがすっきりした物が多いのですが、少し大きめに着るのが今っぽいですね。
PCS(Personal Clothing Syslem)ジャケット・プルオーバー
最後に近代ミリタリーのアイテムをご紹介。
PCSとはイギリス軍のレイヤリングシステムの略で、正式名称は(Personal Clothing System)
アメリカ軍のECWCSはモンスターパーカーでかなり有名になりましたが、それのイギリスバージョンですね。
アメリカ軍程の高機能素材ではないものの、イギリス軍らしいスタイリッシュなサーマルジャケットは温かさと着こなしやすさがちょうど良さそう。
プルオーバーもトレンドライクに着られるミリタリーだと思います。
見極めポイント
サイズ表記
サイズ表記が 170/90 といった表記になっている事が多く、パンツは 数字/数字/数字 となっていることが多いです。
その以前は0.1.2.3 という数字のサイズ表記もあったようです。
ブロードアロー
「↑」のような矢印はブロードアローと呼び、イギリスミリタリーのタグに記載されていたり、ステンシルとして刻印されていたりします。
パンツやヴィンテージにつくことが多いので、かなり判別しやすいポイントですね。
イギリス王室空軍
「イギリス王室空軍」という意味をもつ「RAF」。
「R.A.F」 で表記されることも有り、世界で一番歴史の長い空軍といことでも知られています。
ドイツ軍
ユーロミリタリーの中でもひときわ堅固な印象のドイツミリタリー。
ここまで軍服の見せ方、見られ方にこだわっていた軍も少なく、ナチスドイツ時代の軍服は相手に強烈な印象を残すためにしっかりとしたデザインで作られたと言われています。
そのため第2次世界大戦以降、ナチスドイツの軍服に酷似したデザインの服が映画などに数多く登場しており、架空の敵国がナチスドイツ軍のような服装を模したことでも知られています。
有名どころではスターウォーズなどですかね。
そういったことから、カッコいいデザインが多いドイツ軍ではあるのですが、ナチスドイツの黒い歴史的な部分もあるため、ここではあくまでファッションという観点からのみお話します。
代表的なアイテム
GERMAN TRAINER(ジャーマントレーナー)
現在では服好きなら一度は聞いたことがあるであろう、「ジャーマントレーナー」
元々の出目は1980年代ごろに西ドイツ軍がトレーニング用として使用していたシューズになります。
シュッとしたスタイリッシュな装いと、ガムソールの色味がマッチしたデザインは、ミリタリーですがシンプルに野暮ったくならずに履くことができます。
Margiela がレプリカラインとして出しており、現在も人気のあるアイテムです。
また、当時のドイツ軍のジャーマントレーナーは「PUMA」や「adidas」などが作っており、その工場はオーストリアにあったとされています。
フライトレザージャケット
こちらも「Margiela」のアーティザナルラインで元ネタとして使われたドイツ軍のフライトジャケット。
フライトジャケットらしく、操縦の邪魔にならないシンプルなディテールと動きやすいサイズに整えられたバランスが特徴的です。
首元までジップを上げて着こなすのもカッコいい一着です!
モールスキンカーゴパンツ
比較的安価に購入できるドイツ軍のモールスキンカーゴパンツ。
生地は起毛感のあるツイル織りのモールスキンを採用しており、保温性も高く冬場に履きやすいパンツとなっています。
シルエットとしては太く細くもない絶妙なバランスが、程よくカジュアルダウンされた着こなしを演出してくれます。
隠れた名作なので、相場が上がらないうちに手に入れたい一着です。
ちなみにフレンチワークのモールスキンとは素材感が全く異なるものとなっています。
ヘリンボーンツイルワークジャケット
ヘリンボーンツイル素材で作られたユーロワークジャケット。
この素材で作られているのが基本的にドイツ軍にワークジャケットになっており、コットンツイルやモールスキンだとヨーロッパで一般的な作業用として使われいたワークジャケットになります。
ユーロワーク同様、フレンチブルーの絶妙な色落ちを楽しめる一着で価格も手ごろなのでとてもオススメです。
m-36オーバーコート
ナチスドイツ軍時代のオーバーコート。
同時期に採用されていたM-36野戦服の上に着るコートでもあります。
見た目の野暮ったさはありますが、寒さをしのぐために襟を立てられる仕様になっていたり、動きやすいように裾部分をたくし上げられるしようになっていたりと、ミリタリーとしての機能は十分詰まった一着です。
市場でもあまり出回っていないイメージです。
見極めポイント
サイズ表記
ドイツ軍もタグのサイズ表記を見ることで、特定することができます。
上の赤で囲っている部分の「Gr.」
こちらががドイツ語で「サイズ」を表しています。
ですので、こちらの文字を見つけることができればドイツ軍と推測することができるでしょう。
独特のレインドロップ
黄色味がかったレインドロップはドイツ軍が採用していた物。
独特の色味なので分かりやすい判断材料ですね。
スウェーデン軍
近代の歴史において、第一次世界大戦・第二次世界大戦でも中立国としてきたスウェーデン。
戦争というイメージがあまりない国ですが、ミリタリーは実は名作が多い国でもあります。
グリーンカラーが特徴的で、北欧でありながら縦に長い領土を持っているので気温に適したミリタリーアイテムも豊富です。
現在の価格は比較的手ごろな物も多いのですが、「M-90」などのコートを始めとしたアイテムの人気は去年から格段に上がりました。
今年以降も人気が継続するであろうおすすめのミリタリーでもあります!
代表的なアイテム
M-59 フィールドコート
60年代から70年代に実際に使用されていたフィールドコート。
広めに作られたアームホールと広めの身幅で両サイドの大きなポケットが一番の特徴です。
Aラインを綺麗に描いてくれるシルエットなので、今っぽく街着としてかなり合わせやすいコートになっています。
裏地がボアになったライナーを取り外しができ、ライナーのみで着るのが今人気ですね!
価格も現在は比較的手ごろで、サイズは「C146」が人気です。
ちなみに、「C146」は肩幅・身幅がC46と同じまま着丈、袖丈を長くしたサイズ感となっています。
M-90 コールドウェザーパーカー
「M-59」の後継モデルとなっているのがこちらの「M-90」
大きくは前期と後期に分かれており、前期はフード一体型、後期はフード収納型となっています。
M-59と同じくシンプルな作りで大き目のサイズ感が特徴的な一着となっているのですが、M-59よりも軽い素材感でありながら保温性もあり、ボタンもスナップボタンへと切り替わっています。
また、ライナーもありません。
「M-59」と比べて機能面を大幅にアップさせたというところでしょうか。
最近人気も高くなってきているミリタリーアイテムですので、見つけた場合は是非手に取ってもらいたいアイテムです。
M-55 スリーピングシャツ
プルオーバータイプのスリーピングシャツ。
軍形が使っていたパジャマ的なアイテムですね!
グリーンの色味がスウェーデン軍らしいシンプルなシャツですが、着丈少し長めに一枚で着られるアイテムになっているかと思います。
価格も手軽で4000円前後で入手することができます。
モーターサイクルジャケット
アシンメトリーなフロントのデザインが特徴的なモーターサイクルジャケット。
60年代にバイク乗りが実際に使っていたジャケットです。
正面の大き目ポケットが特徴的で、かなり大き目のポケットなので財布・タバコ・スマホとメンズの持ち物なら全然このポケットひとつで大丈夫。
ヴィンテージミリタリーらしい無骨な印象がありながらもアシントメトリーがデザイナーズのような雰囲気もある面白い一着です。
バイク乗りのジャケットらしく、ウエストもキュッと閉めてすっきりしたシルエットで着ることもできますし、取り外し可能なボアライナーもついており、ライナー単体でも着ることができます。
価格はミリタリーアイテムの中では高めですが、かなりおすすめの一着です!
M-69タンカースJKT
斜めのジップが特徴的なジャケット。
タンカーという名前の通り、主に戦車乗りが使っていたジャケットだそうです。
背中部分にもポケットがあり、こちらもデザイナーズのような面白い仕様ですね。
yohji yamamoto 19ss のジップコートなどもここから着想を得たのではないかと想像してしまいます。
スノーパーカー
アメリカやイギリス軍でも有名なスノーパーカー。
こちらはスウェーデン軍のスノーパーカーになります。
名前の通り雪中用の野戦パーカーでジャケットの上などに羽織れるようかなり大き目の作りが特徴的です。
「M-40スノーパーカー」と「M-62スノーパーカー」があり、上はM-40モデルとなっています。
比較的手ごろのアイテムなので、人気のあるミリタリーです。
見極めポイント
3クラウン
3クラウンと呼ばれる、3つの王冠がスウェーデン軍の目印。
ステンシルだったり、ボタンの刻印などに見られる分かりやすい判別指標になります。
SIZE表記
英語と数字の組み合わせの緑の文字がサイズを表しています。
赤字で、C41 などもありますが、比較的分かりやすいサイズ表記だと思います。
また、人の形とサイズ表記が書いてあるものもあります。
ノルウェー軍
スウェーデン同様、1900年代の戦時中は中立の立場だったノルウェー。
第二次世界大戦中はドイツ・ナチス軍による侵略があったものの、第二次世界大戦後は再び独立を回復しています。
ミリタリーの数もそこまで多くはないですが、かなり安価に入手できる軍物でもあります。
スウェーデンの隣に位置することからスウェーデン軍に似たデザインのミリタリーが多いのも特徴です。
代表的なアイテム
フィールドコート
アメリカ軍の「M-65」とスウェーデン軍の「M-59」を足して割ったようなデザインのコート。
ライナーやフードなどが付いた物もあり、北欧らしい防寒性のあるコートとなっています。
見極めポイント
サイズ表記
場所柄、スウェーデン軍に近いサイズ表記が使われています。
コートやパンツ、ジャケットにこのタグが付いていることが多いです。
また、左上の盾のようなマークがあればノルウェー軍かと思われます。
HAEREN
「HAEREN」と言うステンシルがあればノルウェー語で「軍」という意味を示しているので、ノルウェー軍のミリタリーになります。
チェコ軍
歴史の中で「チェコ共和国」と「スロバキア共和国」に分かれた経緯を持つ国。
公式名称は「CZECH REPUBLIC(チェク・リパブリック)」でミリタリーのお店ではタグなどにこの名前で書かれていることも多いです。
日本で人気となっている名作は多くはないですが、ミリタリーアイテムはライナーの印象が強めですね。
代表的なアイテム
M-60 コート
緑がかったレインドロップが特徴のコート。
デザインはシンプルですが、レインドロップは比較的日常使いしやすいカモ柄だと思うのでおすすめです。
M-60 ライナージャケット
M-60 コートのライナー。
コートよりもこちらのライナー単品の方が日本の市場には多く出回っている印象です。
スウェーデン軍のライナーを始め、近年はユーロミリタリーのライナーが流行中。
特に女子に人気ですよね。
このチェコ軍のライナーも使いやすく価格も今のところはかなりお手頃。
女性の方が着て可愛いミリタリーアイテムになっています。
オーバーオール
ヘリンボーン生地のオーバーオール。
右側の身につくポケットがちょっとしたアクセントになっています。
ミリタリーワークなので、ワークテイストで着られる一着ですね!
M-85 ミリタリージャケット
ウエストベルトが特徴のミリタリージャケット。
ジャケットとコートの中間くらいの着丈です。
機能性を重視するミリタリーらしく、撥水加工が施されている生地にもなっています。
見極めポイント
ステンシルで剣が2つ重なったマーク、「クロスソード」が目印です。
ベルギー軍
フランスとドイツに挟まれた形で位置するベルギー。
第一次世界大戦や第二次世界大戦でも中立の立場に立つことが多く、防衛でも軍備が多かったようです。
ベルギー軍はイギリス軍から衣料の技術供与を受けていたようなので、イギリス軍に近いデザインの物が多く、またイギリス軍に比べて安価に入手することが可能です。
ミリタリーの名作などは多くはないですが、価格面で手に入れやすいミリタリーでしょう!
代表的なアイテム
ジグソーカモフィールドシャツ
「Supreme」などでもサンプリングされている特徴的なカモ柄のシャツ。
アメリカ軍のカモ柄とはまた一味違った雰囲気が楽しめそうです。
フィールドジャケット・パンツ・スモック等もジグソーカモで作られています。
M-88 フィールドパンツ
90年代頃に使用されていたフィールドパンツ。
ダブルニーで生地に厚みがありつつ、裾にドローコードが入っているので、足元がだらしなくなりすぎず綺麗なシルエットで着用することができます。
見極めポイント
ベルギー軍官有物に表記されているこの「ABL」の文字。
こちらが記載されている物はベルギー軍の物になります。
オーストリア軍
現在、永世中立国の立場を取っているオーストリア。
過去1938年にナチスに併合・1945年から1955年まで、イギリス・アメリカ・フランス・ソ連に分割占領統治・1955年に占領から独立。
と領地を大きく変えてきた歴史を持ちます。
ミリタリーとしては日本で有名なアイテムは多くはないですが、その分かなり手ごろな価格でミリタリーを購入できます。
代表的なアイテム
コンバットパンツ
オーストリア軍で使用されていたコンバットパンツ。
左はポケットの配置が左右非対称のパターンで、右が両サイドに大き目のポケットがついたパターンになります。
右の両ポケットの方が市場に出ている数も多く、2000年代もこちらのカーゴパンツが使われていたと思われます。
左のコンバットパンツはイギリス軍の60パターンコンバットパンツに近いデザインなので、イギリス軍の物を真似て作ったのかもしれませんね。
見極めポイント
「HEERESEIGENTUM」・サイズ表記
「HEERESEIGENTUM」という文字とサイズ表記である「Ⅲ-Ⅳ」が判別ポイントです。
「HEERESEIGENTUM」はドイツ語で「陸軍所有物」という意味。
陸軍から貸与された官給品(国から支給された物)であるという事です。
そしてオーストリアは公用語でドイツ語を使用しているので、オーストリア軍にもこの意味が当てはまります。
また、サイズ表記がローマ数字のものが多く見られるので、この2つの要素が合わさればオーストリア軍で良いかと思われます。
HBA(軍被服局)検定印
赤い色で囲っている部分がオーストリア軍HBA(軍被服局)検定印で、その右に書かれている数字が検定年次の年となっています。
イタリア軍
スタイリッシュな印象の強いイタリア軍。
1900年代の戦争当時、意外と国内産業は遅れており、軍備に関してはかなり後進的でした。
しかしながら、空挺部隊は別で戦闘機も決して弱い物ではなかったそうです。
そのため、空軍のパラシュートパンツがイタリア軍は有名なのかもしれません。
代表的なアイテム
ホスピタルジャケット
負傷した兵士たちが施設内で着用するという目的で作られたジャケット。
兵士に負担をかけないように、通常時に使用するミリタリーよりも柔らかい生地を使用し、肩パッドなどを排除した非常にシンプルな作りとなっています。
ワーク調に着られる一着です。
セットでパンツもあります。
スノーパーカー
スノーパーカーと言えば、スウェーデン軍が有名ですが、イタリア軍のスノーパーカーも名作のひとつ。
フロントはボタンではなく、紐で留めるタイプの仕様。
スウェーデン軍よりも白の色味が強い印象で、スウェーデン軍に比べると少しだけすっきりとしています。
ですので、普段着にはこちらのイタリア軍の方が合わせやすいのではないでしょうか。
パラシュートパンツ
裾の絞りと膝当てのデザインが特徴のパラシュートパンツ。
空挺部隊が使用していた物で、パラシュート着地時の為の膝当てと、空気抵抗を受けづらくする為の機能的なディテールが流石ミリタリーです。
その結果かなりスタイリッシュなボトムになっているのもイタリアらしい。
デザインが良いイタリアの名作ミリタリーです。
見極めポイント
サイズ表記
「TAGLIA」がイタリア語でサイズを意味する文字になります。
また、「E.I. PLINC」という会社名のタグが多く出回っていると思われます。
オランダ軍
意外と面白いミリタリーが多いのがオランダ軍。
日本で名作として挙げられる物が多くあるわけではないですが、比較的お手頃な価格で他のミリタリーにないデザインのアイテムを手に入れることができます。
国としては第一次・第二次世界大戦は中立を通しており、戦争を仕掛けていた国ではないので軍服の種類はさほど多くはない印象です。
代表的なアイテム
ナトーフィールドジャケット
オランダ軍の代表的なフィールドジャケット。
胸元の斜めについたフラップポケットが特徴的な一着です。
「COMOLI」などがこの斜めフラップポケットのアイテムを良く出していますよね。
コチラのモデルは80年代ごろに使用されいた物になります。
ナイフポケットパンツ
オランダ軍のカーゴパンツと言えばこちらのモデル。
膝下にあるナイフを入れるためのポケットが特徴的な一足です。
かなり下あたりにナイフポケットがあるのが面白いですよね。
シルエット的には太すぎず細すぎずなストレートシルエットで、かなり履きやすい太さになっています。
スナイパーコート
左右非対称のポンチョ型がかなり特徴的なコート。
撥水性のある生地感でレインコートとしても使用できます。
ポンチョ型なので袖がなく、スナイパーライフルを構えやすい構造です。
雰囲気の出る一着でミリタリーとしてかなり面白いアイテムなのではないでしょうか。
パーカーコート用ボアライナー
今トレンドのボアライナー。
パーカーコート用のライナーですが、日本市場にはほとんどがこのライナー単体で流通しています。
スウェーデン軍などの丈長めの物が多いボアライナーですが、オランダ軍のこちらのアイテムは比較的短めでブルゾン感覚で着られる一着ですね。
リバーシブルジャケット
ユーロミリタリーの中では珍しいリバーシブル仕様の中綿ジャケット。
「SOFTY」と呼ばれる軽量で温かい素材を使っており、ダウン並みの保温性を持っているアウターです。
リバーシブルしてもかなり雰囲気良く着られる一着かと思います。
近代ミリタリーならではの高スペックが詰まった一着です。
見極めポイント
オランダ陸軍(KL)
「KL」は王立陸軍(Koninklijke Landmacht)の意味。
オランダ海軍(KM)
「KM」は王立海軍(Koninklijke Marine)という意味。
M.v.O.
タグに記載されている「M.v.O.」は「設備工事部隊」という意味。
サイズ表記
「MAAT」がオランダ軍でサイズという意味になります。
スイス軍
戦時中は中立国として独立を守っていたスイス。
ですので、戦争のイメージは強くない国ですが、ミリタリーは良品も少なくありません。
また、判別としてもスイス軍として見分けがつきやすい物が多いので、古着屋などで見るときも分かりやすいですね。
かなり手ごろな価格で購入できるのもスイス軍の良い点です。
代表的なアイテム
アルペンカモマウンテンジャケット
アルペンカモと呼ばれるスイス軍のカモフラ柄を採用したマウンテンジャケット。
ポケットも多く、機能的にも優れたジャケットです。
フードも取り外しできるので、また違った雰囲気で着られるのも良い一着です。
デニムワークジャケット
少し緑がかったような独特の色味が特徴のデニムワークジャケット。
画像では見えないですが、バックのウエスト部分のフックが面白いディテールです。
年代で多少印象は変わりますが、日本での相場はかなりお手頃。
いい意味で、値段にあってないデザインだと個人的には思います。
ウールパンツ
ウール地のジョッパーズパンツ。
厚手のウール地が温かい40年代頃のパンツです。
テーパードがかかっており、足元がぴったりくっつく動きやすさを考えたデザインになっています。
マウンテンリュック
スイス軍山岳部隊のマウンテンリュック。
ごま塩と呼ばれるユーロヴィンテージに見られる生地感が雰囲気のよいアイテムです。
「RRL」がサンプリングするなど、今でもコアな人気があります。
見極めポイント
サイズ表記
タグが付けられていることがあまりなく、サイズ表記がステンシルで印字されていることが多いです。
ジャケットは「40~48」くらいの2桁。
パンツは「48 72」などの2桁が2つ並んだものが多いです。
アルペンカモ
スイス軍独自のカモフラ柄であるアルペンカモ。
ドイツ軍のライバーマスターカモ柄がベースとなったと言われています。
十字ボタン
スイス国旗の十字がボタンなどに使われていることが多いのがスイス軍の特徴です。
ボタン以外だとステンシルなどの十字が付いている事が多いように思います。
ポルトガル軍
続いてポルトガル軍。
日本に入ってきているミリタリーは他の軍に比べて少ない印象です。
第一次・第二次世界大戦よりも「植民地戦争」の方に話題性があり、40~50年代よりも後のミリタリーが多いのかもしれません。
代表的なアイテム
リザードカモBDU
ポルトガル軍独自の迷彩であるリザードカモ。
そのカモフラ柄を使用したコンバットジャケットです。
こちらはミリタリーではよくある4つポケットと、珍しいスタンドカラーの組み合わせが特徴的な一着となっています。
見極めポイント
サイズ表記(Tamanho)
「tamanho」はポルトガル語でサイズという意味になります。
サイズ表記(青文字)
小さなタグに青い数字一桁で書かれた物が多く存在します。
スペイン軍
日本でファッションとして使用するミリタリーが多くない印象のスペイン軍。
また、日本に入ってきているのは近代ミリタリーが多いですね。
第一次世界大戦では中立、第二次世界大戦ではドイツ・イタリア・日本側にいながらも参戦はしなかったという歴史を持っています。
代表的なアイテム
2010年程から採用された新型迷彩のBDU。
近代ミリタリーならではのリップストップ生地(破れが広がらない生地)などが採用されています。
見極めポイント
サイズ表記
「TALLA」がスペイン語でサイズを表す言葉です。
ロシア軍(旧ソ連軍)
ソ連が崩壊し、ロシア連邦が設立したのが、1991年なので、ヴィンテージのミリタリーにおいてはソ連軍と呼ばれることが多いようです。
日本に入ってきているミリタリーは多くはないので、古着屋でも見かけることは少ないでしょう。
ミリタリーにはタグなどがなく、その代わりにステンシルが刻印されていることが多いです。
代表的なアイテム
スリーピングシャツ
兵が宿舎などで使う「スリーピングシャツ」
そのスリーピングシャツの中でも特に人気のあるのがロシア軍(旧ソ連軍)のこちらのモデルとなっています。
上の物は80年代なのでソ連軍時代という事ですね。
クルーネックのモデルもありますが、Vネックのモデルはシャツとしても面白いデザイン。
かなり涼しく着ることができるシャツです。
見極めポイント
ステンシル
キリル文字と呼ばれる言語のステンシルが刻印されています。
終わりに
以上、各国のミリタリーまとめでした!
個人的に今回改めて調べてみて、知らなかったヨーロッパの歴史もありましたし、判別方法なども自分が思っている以上に多くあることが分かりました。
今回、デザインからの見分け方ではなく、どちらかと言うとタグから見分けるという内容になっています。
本当にマニアの方になると細かいディテールから軍の判別や年代判別まで考察すると思うので、その一歩手前の内容にはなっているのではないでしょうか。
ディテールで年代を見分けるのは1点1点のミリタリーアイテムにかなり知見がないと難しいので、ヴィンテージを買い付けている古着屋さんに聞く方が確実です。
そういった内容も今後追加していければと思います。
間違いや、追加での判別情報などございましたらぜひコメントいただければ嬉しいです!